「言いたいことが言えるようになった」「いまの自分がすき」
こどもたちの声を聴くたびに、わたしは十字架から少し解放されるような思いでいます。
本当にこどもたちにとって、「リトル・ミュージカル」がベストな場所になっているかどうか、いつも自問自答しながら過ごしているからです。
会社や学校、部活動やサークル、習い事。さまざまな場所で、出会いを繰り返し、ここに辿りついてよかったと折に触れて認識し、その温かい感情を胸にひとは過ごしていくのだと思います。「本当の自分」を発揮できる気持ちの良さ、こどもたちも知っています。
保護者の皆様の悩みと同様、わたしも、そう感じてもらえたら嬉しいので必死です。
リトル・ミュージカルで提供している「レッスン内容」は、営利団体のサービスとして提供しても、高レベルのものと自負しています。競争をしたいわけではなく、ひとりひとりに向き合うエネルギーやかける時間、メソッド、指導者の質、どれをとっても、負ける気がしません。素晴らしいスタッフに恵まれていることはもちろんのこと、ビジネスとしてのサービス提供には、どうしてもコスト見合いやサービス均質化という壁にぶつかり、「落としどころ」を見つけているはずだからです。
もちろんその中で最善を尽くさせている素晴らしいサービスが切磋琢磨してこの社会を創っていることは承知しています。わたしは、ビジネスでうまれる課題、「利益の追求」「適なサービス」を度外視して、どうしてもこどもたちと向き合いたかったのです。
費用的に・・・時間的に・・・という壁はそれでも巡ってきます。
敢えて非営利団体にすることで、自分のビジネス概念をとっぱらいたかったのです。敢えて時間かけようよ、プロセスを大切にしようよ、凸凹なのがいいんじゃん、それでも流れている気持ちの根本は同じでいようよ、と。そして、現在6人に1人といわれる貧困世帯のこどもたちにも、自分の心の内側を大切に、自分が大切なひとりの存在であることを表現してもらえる活動にしたいと思っているからです。
もうひとつ、非営利団体にした意味があります。多くの助成金や寄付金をいただき、この活動が成り立っています。こどもたちには、自分たちの成長をこんなにも親以外のたくさんのひとが応援してくれていること、だから、思いっきり成長して、自分の持ってるものをはちきれんばかりに出すしていいんだと知ってもらいたいのです。そして、次世代のこどもたちへ繋げていく気持ち、今おこっている社会問題に等身大で向き合う気持ちを育んでいきたいと思います。そうして私自身もそれに返していかなくてはと常に謙虚な気持ちを持ち続けます。
これからの資本主義社会、「本当の先進国になる日本」において、「心から思う」やりたいことがあるって大事だと思うのです。
「シンギュラリティ」「49%の仕事がなくなる・・・」様々な社会変革のキーワードが踊っています。
「自分の内面を見なくては」心が折れてしまうことが多い社会です。自分の心に正直に仲間を巻き込み、突き進んでほしい。リトル・ミュージカルのプログラムは、「国際的なリーダーになる」にも「ミュージカル女優になる」にも「プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を高める」にもものすごく役立っているでしょう。
でも、そんなこと気にしないで欲しい。ただただ、純粋に自分の心に従って楽しんで欲しい。心からの純粋な気持ちを大切に楽しんでほしい、そう思っています。
踊ろうぜ! 歌おうぜ! でっかい声で叫ぼうよ!
言いたいこといっちゃおうぜ!
生きてることを楽しんじゃおうよ!
こどもたちと一緒になってはしゃいで遊んで、めちゃくちゃ面白くて、感動する舞台をわたしは作り続けたいと思っています。こどもたちが舞台でかがやく姿が大好物。本当にやりたい気持ちに気付いた瞬間が大好き。その気持ちがあるから、やや大変な(笑)この事業をやり抜く気持ちでおります。いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。これからも、こどもたちのかがやきを一緒に追いかけてください。
2016年3月 リトル・ミュージカル代表理事 石垣清香
石垣清香(いしがきさやか)プロフィール
名古屋大学卒業後、広告制作会社などを経て2009年コンテンツ企画制作会社設立。一方、ライフワークとしてヨガなどのボディワークを研究し、身体表現技法を学ぶ。また、シナリオ・センターにてシナリオ制作の基礎を習得。2013年、非営利市民活動として、ミュージカル団体「リトル・ミュージカル」を旗揚げし、オリジナルミュージカルの制作指揮を執る。2015年一般社団法人化。脚本・作詞・作曲・振付・創作表現あらゆることでこどもたちと密に接することで、こどもひとりひとりの持ち味を活かした作品創造の方法を研究。