台本がない作品に取り組む理由 演出家:村松裕子

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子どもたちは、いろいろなアイディアをもち、コトバを持っています。

“実はね、この鉛筆、世にも不思議な鉛筆なんだよ”

と話せば、子ども達の発想は止まることはありません。

 

発想し、そして伝え、受け入れてもらえるという経験。
同じ問いかけにも、自分と全く違うことを発想する友だちの存在。

 

その中で見えてくる子ども達の個性、生まれる関係性が、
子ども達と舞台を創る上で、とても大切なことだと私は思っています。

 

表現するうえで、下手も上手もありません。伝えたいと思う気持ちさえあれば、
仲間たちと一つの舞台を創り上りたいと思う気持ちさえあれば、もう立派な表現者です。

 

子ども達と行う作戦会議から、見えてくる子ども達の世界。
日々、戦い、悩み考えている姿。
全てがセリフになることはありませんが、
一つの作品を作るにあたり、一人ひとりが等身大の自分として考え、
取り組むことで、子ども達のいろいろな気づきがある瞬間に出会います。

 

自分のアイディアやコトバが作品の一部を担っている、
みんなで創った作品なんだ、と自信に満ちたまなざしと出会います。

 

ものすごーく手がかかる作品つくりですが、
大人が書いた作品を子ども達が読み込み役作りをするのではなく、

子ども達の「今」だから創れる作品にこだわりたい理由。

 

言いたりないくらい、理由はあるのです。

 

村松裕子(むらまつひろこ)

 

演出家・NPO法人表現教育研究所スタッフ

明治大学仏文卒業後、ワルシャワ大学、University of NY in Pragueで 心理学を学ぶ。日本アートマネジメント学会立ち上げに参加。こどもミュージカル(東北電力主催)から創作現場に入る。オペラの現場と並行し、子ども達との 表現活動を開始。ヴェルディ「マクベス」、「ルイ・ザ・ミラー」(東京オペラシアター主催)等、演出。モーツァルト「フィガロの結婚」等(サントリーホー ル主催、新日本フィルハーモニー)、プッチーニ「ジャンニスキッキ」(新国立劇場オペラ研修所主催)他 演出助手。こどもミュージカル「キャプテン・ル イ」(MJIM主催)上演台本。子どもたちとの表現ワークショップや創作演劇にも力を入れ活動中。

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