創作ミュージカルを作るにあたって、どんなコンセプトで?尺は?予算は?こどもたちの様子、何をしたがっているか、こちらが今の団員に伝えたいことは何か?取材めいたものから、リトル・ミュージカルの作品創りがはじまります。
1年目のプロジェクトコンセプトは「舞台にたってみる!」
脚本コンセプトは「本物の友情をしって成長する」
一年目の作品は当時の団員4人でつくりました。3年生2名、4年生1名、中2生1名。3人の少女をめぐるお話。ひとりひとり役割があり、ミュージカルらしく、それぞれに特殊能力や秘密をもっていました。大人スタッフも、こどもも初挑戦。テーマは、それぞれの役割。言いたいことを言い合えるというのが本物の友情だと気付くのですが、一期生が、これからのリトル・ミュージカルを支える上で、心を解放しあってくれたらいいなと思って書いた作品でした。
時は「あまちゃん」ブーム。こどもたちもハマっていた時だったので、ネタを色々と仕込みました。かの「じぇじぇじぇ」や「なんも言えね〜」などおなじみのフレーズを使わせてもらったのですが、この作品の幕が上がった日は、あまちゃんの放送終了から3ヶ月後。脚本を書いていた私が恥ずかしくなり「もうそれ古いよ」というオチを付け加えた経緯がありました。うまいこと演じてくれたな〜!
2年目のコンセプトは「食育」
脚本コンセプトは「感謝と認め合う心」
食育といっても、三大栄養素が〜とか、生産者の話、といった話ではなくて、「作ってくれた人への感謝」「作る人の気持ち」が伝わると、ごはんって途端にごちそうに変わるのではないかと思います。
おいしいものがいっぱい溢れる日本に育っているこどもたち。いつもお弁当を作ってくださるお母さんへの感謝も持ってほしくて、「食」をコンセプトにもってきました。ちょっとこどもたちの食が(食への姿勢が)乱れているなあと感じることもあって。「病気がちのお母さんのために、明治時代、少女がオムライスを開発した」という設定をめぐって、そのひ孫である主人公の友人関係がぎくしゃくします。大事なのは「作るひとの想い」「幸せにしたい」という気持ち。作る側も、食べる側もそれを大切にできたらというところから始まりました。
時は「ごちそうさん」のブームの後(笑)。明治のおいしい洋食の世界に魅せられ、食がこんなに人を幸せにすることに、改めて気付かせてくれた作品です。こういった食の映画といえばピクサーの「レミーのおいしいレストラン」。そのメッセージも参考に、世界文化遺産に登録された「和食」そして、和洋食を題材に扱ってみたいと思ったのです。演出には、プロジェクトマッピング風の映像表現でタイムスリップ感を出したり、こどもたちが自分で作った小道具も取り入れました。
3年目のコンセプトは「創作」
脚本コンセプトは「自分を信じること」
3年目ははじめて、こどもたちで作品創りから関わることにトライしました。こどもたちからたくさん溢れ出すやってみたいこと。彼女たちの等身大の考えをもっと舞台で出したい、こどもたちに触れ合えば触れ合うほどそれを思ったのです。どこかはかなげなこどもたち。もっと自分を信じること。でも、信じるためには、努力が不可欠なこと。40名を超えた団員たちが、それぞれの役割を果たすことで、このような哲学的な問いに、こどもたちの世界感で作り上げることができました。
創作をすることで、「ドキュメンタリー」に近い作品ができあがってきました。役はあるのだけれど、等身大のその子がそこで本音を話すかのような、リアルとの境界線があいまいになっていく感覚。ワークショップをしながら役者が役に息吹を吹きかけたブロードウェイの名作「レント」や、アカデミー賞をかっさらった「桐島、部活やめるってよ」のようだ、と恐れ多くも思ったのです。こどもたちでそんな作品を作れることに、興奮した3年目の挑戦でした。
4年目は「エンターテインメントとしての見どころ」を
こどもたちと創作をして、こどもたちが舞台に立つ活動なので、「教育的」な意図があるべき。プロ公演の制作とは違うわけです。ただ、やっぱり舞台を制作する上で「面白かった」と言われたいという気持ちを持っていて、「創作」をこどもたちとするのは、単に「考える&イメージする力を養う」という教育的視点だけでなくて、いまここにいる団員がパフォーマンスする上で、一番良いものができる手法だと思うからです。こどもたちが「面白かった」そう評価をもらえるような、見どころ満載の舞台を作りたいと思うのです。
インスピレーションの源の「こどもたち」を考えて考えて考えて思うのは、リトルのこどもたちって?と聞かれたらまっさきに出てくるのは「元気の良さ」やりたい!やりたい!やりたい!その空気感を上手く表現することができないだろうか。
こどもたちが憧れる「ファンタジー」や「冒険」「プリンセス」「ちょっと背伸びした恋」そういうものをどこに入れ込むか。面白い作品やトレンドをどう取り入れるか。
あ、RIFF-OFFの世界観は、どう?
たくさんの作品を参考にしつつ、盛り込みたいシーンを検討しています。面白いもので、私は、だいたい数ヶ月前に触れたネタがふっとリンクしてくることがあります。やる、やらない、は実際に創作に入ってから決まるものですが、見るべくして見ているものなんですよね、導かれているともいうべきか。
ピッチ・パーフェクトでおなじみとなったシーン
こども同士で、こんな歌合戦なんて盛り込んだら、面白いかも!もしくはけんかや言い争いを歌を使ってできないだろうか。既存の名曲を持ち込み、こどもたちの歌への情熱を解放できるようなRiff-Offのシーンなんてどうでしょう?同じように、Dance-offもいいですねー!いつか、リトルの舞台のRiff-Offとか、Dance-Off は見物だよ!となれるように仕込みたいと、ちょっとプロデューサ魂がでてきました。
私たちは、考える・イメージする、ということから作品を作り上げ、世界にたったひとつの作品をこどもたちとともに作り上げていく劇団ですが、「純粋にうまくなりたい!」という気持ちも大切にしたい。そのための工夫でもあります。
心揺さぶられるディズニーの楽曲を徹底的に分析!
英語劇で「白雪姫」をするといったとき、みんなが目をキラキラさせて、白雪姫役がやりたい!と言うのです。プリンセスが好きなんだと。これほど、虜にするディズニーの世界は本当にすごいと思います。そして楽曲の持つパワー!気持ちが盛り上がるように本当に計算され尽くしています。分析すればするほどすごいコード進行です><
今年は、こどもたちが曲を作りますが、サントラやアレンジの方でも、演じている方も観ている方ももっていかれる音楽の魔力を作っていきたいと思います。
本当にリトル・ミュージカルって面白いチャレンジングな場!!